人気日本酒の代名詞となりつつあるのが獺祭です。日本酒に詳しくない方であっても、普段目にすることのない獺(かわうそ)の漢字を使った奇抜な名前の日本酒を知らない方は少なくありません。しかし、具体的にどのような特徴で、美味しいのか、獺祭は単独の商品なのかといった詳しい話に踏み込むと分からない方も多くいます。
そこで今回は、獺祭とはどんなお酒で、味わいの特徴はどんなものなのか、そして獺祭の美味しい飲み方や最近の話題も解説します。
目次
獺祭は、山口県にある旭酒造で醸造されている日本酒です。最初に獺祭を醸造する旭酒造や同蔵元の歴史、使用している酒米、環境について解説していきます。
獺祭を醸造する旭酒造は、山口県の最東部にある岩国市の酒造会社です。同社は、酒造りが特に日本でも盛んというわけではない、この地で確実な実績を挙げていきました。「酔うため、売るための酒ではなく、味わう酒を求めて。」という目標を持ち、日々新しい試みを行っている酒造会社でもあります。しかし、一部の酒造メーカーで見られる顧客を無視したストイックな技術の追求を行っているのではありません。生活の、一つの道具として楽しんでもらえる日本酒を目指しており、その一手段として技術などがあります。そのため、基本的に一般的な獺祭は、その価格帯も極端に高いものではありません。
獺祭、84万円で落札 「最高を超える」酒米で醸造 https://t.co/sQjqdN1IMa
— 朝日新聞(asahi shimbun) (@asahi) November 10, 2020
獺祭の魅力として、コストパフォーマンスの高さが挙げられます。そんな中、2020年11月に84万円で落札された獺祭があります。サザビーズ香港で6万2500香港ドル(約84万円)にて落札されたのは、限定で醸造された23本のうちの1本です。これは、旭酒造が主催する山田錦生産農家のコンテスト「最高を超える山田錦プロジェクト2019」で優勝した米で醸造されているの獺祭です。最高の山田錦を限界まで磨くことによって作られた究極の獺祭といえるでしょう。ちなみにオークションに出された獺祭は23本のうちの6本(シリアルナンバー1、2、3、6、7、8)で、残りは関係者や社内での保管を行うそうです。
旭酒造の経営危機を救い、成長のきっかけとなった獺祭ですが、気になるのは酒米という方も多いはずです。結論を言えば獺祭に使用している酒米は、山田錦です。この酒米は、兵庫県や岡山県を中心に栽培されてきた酒米で、日本酒の酒米としては有名な酒米とされています。しかし品質にこだわる蔵元が一定の基準に満たない酒米は利用しないというのが基本です。それに対し、旭酒造では、削りのレベルや製法を工夫して、基準外の山田錦であっても美味しく飲めるレベルにまで昇華させているのが特徴です。もちろん高価格帯ラインでは1等山田錦と呼ばれる高品質な酒米を使用するなど、山田錦を使い分けてもいます。
旭酒造の歴史は1946年に山口県玖珂郡周東町獺越(現・岩国市周東町獺越)で酒造りを開始したことに始まります。日本酒の蔵元が大正や明治、あるいは江戸、室町といった歴史の長さを持つことに比べると比較的新しい蔵元といえるでしょう。
創業当時は日本の経済成長やそれに伴う日本酒の需要増大を背景に旭酒造は普通酒(一般的な価格で販売された日常酒)である「旭富士」を中心とした醸造を行っていました。しかし、二代目当主になる頃には、販売量も生産量も減少の一途をたどり、閉業も考えていたようです。
そんな中、三代目当主として期待されていた現・旭酒造代表取締役会長の桜井博志氏は、維持拡大を目指して父親と対立しました。親族なのに一時は解雇されるという憂き目に遭います。しかし、父の急死に伴い三代目を継承しました。
前年比85%と、売り上げの減少に拍車がかかっていた最中だったものの、紙パック入りの酒やカップ酒を売り出すなど必死の努力で経営を立ち直らせようとしました。そんな中、精米歩合50%の純米酒の反応が良かったことから、販売の軸足をこの日本酒に賭けることにしたのです。この純米酒がのちの「獺祭」となりました。
このような絶望的な状況の中、杜氏なしで酒造りを行うという大きな勝負に出ます。以前より杜氏の手伝いをしていた際に得たノウハウやデータをもとにマニュアル化した酒造りを敢行し、品質の向上やコントロールに成功したのです。これによって現在の獺祭が生まれました。現在は、4代目の桜井一宏氏のもと、さらなる成長が期待されている蔵元です。
昨日は獺祭の旭酒造さんの蔵見学に行ってきました。
一流のこだわりとチャレンジ精神、機械化データ化の裏にある美味しい酒造りの為の手間のかけ方、我々も商いは違えどコトを積み上げるところは共通する部分がありものすごく刺激になりました?#ローヤルよつや #獺祭 pic.twitter.com/bnbsI6LxGZ— おおくぼ(ローヤルよつや) (@royalyotsuya3) May 31, 2021
獺祭を醸造している環境は、岩国市郊外の山里にあります。ただし、その設備は旧来の酒蔵とは異なり、3階建ての近代的な仕込み蔵をはじめ、機械ですべきところは機械化した設備です。さらに小生産蔵が冬季に1日1回しか蒸さないのに対し、獺祭は1日に3回、しかも1年中行っています。
このように聞くと、非常に機械的で無機質な環境で製造されているように感じるはずです。しかし、獺祭の心臓部とも言える麹づくりには手作業を採用しています。機械化すべき所は機械化し、そうでないところは手作りにこだわるというのが獺祭を製造する環境の特徴といえるでしょう。
「金日大P」珍道中山口岩国編。本日の目的地旭酒造「獺祭」工場の見学に行って参りました。ずっと楽しみにしてた試飲もしてきました! pic.twitter.com/6WhLqLFhtN
— 日光企画社長(同人誌印刷所) (@nikko_boss) August 26, 2017
獺祭の人気は、味わいにあるといっても過言ではありません。その味わいは一言で言えば「飲みやすさ」、ここではその秘密や味わいについて解説していきましょう。
獺祭は、飲みやすい日本酒といわれています。具体的には果物のような雰囲気とくどくない甘さ、マスカット系の爽やかさとメロンのような甘い香りが魅力です。そのため、日本酒に飲みなれていない方でも気軽に飲めることで人気を博しています。その味わいを出している秘密は次の3つが挙げられます。
先ほど触れたとおり、獺祭は山田錦にこだわった酒造りをしています。山田錦は、日本酒を作るのに適した酒米とされ、過去の日本酒の品評会でも山田錦によって作られた日本酒が数多く受賞しています。その山田錦にこだわっていることで果物のような華やかな香りや味わいを出しています。
精米歩合の低さもポイントで、精米歩合とは米を削って残った割合のことを言います。例えば50%であれば削って50%残った状態です。獺祭は、この歩合を非常に低くし、最も高いものでも50%になっています。さらに製品によっては30%を下回るものも珍しくありません。つまり、すべての獺祭で半分以上、多いものでは70%以上削っているのです。酒米をほとんど削ってしまうことで、うまみを生み出せます。
もろみと酒の分離の機械化も特徴です。もろみと酒を分離する上槽工程で、遠心分離機を業界で初めて導入することで、これまでにないスッキリした味わいを手にしました。
このようなポイントを中心に様々な革新的な取り組みをすることで獺祭は、飲みやすく華やかな味わいとなっています。
山田錦を使って精米歩合を低くすれば、獺祭のような人気を得られるのかというと、必ずしもそう言うわけではありません。獺祭が人気を得られた理由として次の3つの理由が挙げられます。
コストパフォーマンスの高さは、獺祭の人気の秘密です。精米歩合50%で山田錦を使った日本酒の場合、1升でも5,000円を超えるケースも珍しくありません。しかし、獺祭はこのクラスで3,000円程度と、かなり割安なのです。この買い求めやすさが獺祭の人気の秘密でもあります。
獺祭にはエピソードもあります。そのエピソードとは、世界の要人にプレゼントとして採用されたことです。ロシアのプーチン大統領やオバマ元大統領などが来日した際に、プレゼントとして渡した経緯があります。海外のトップにプレゼントとして送るからには、中途半端なお酒は贈れません。そう言った意味で、国のお墨付きがある日本酒とも言えるのです。
杜氏に頼らない安定した品質管理も実は人気の秘密です。獺祭を製造する旭酒造には杜氏がいません。徹底的に数字によって品質を管理し、味わいも一定しています。そのため、人の感覚に頼っていないことで安定した品質を提供できます。
この管理によってこの時期の獺祭はイマイチといったことがありません。世の中が新酒の時期でなくても、常にフレッシュな新酒の品質が楽しめるのも人気の秘訣です。
これらの理由が獺祭人気の秘密の大きな部分を占めると言えるでしょう。
獺祭は単一の製品を指しているわけではありません。実は数多くある旭酒造の日本酒のブランドとして獺祭が存在しています。そのため、数多くの獺祭があるのです。ここでは、それらの獺祭のうちおすすめしたい銘柄を10挙げていきましょう。
このように様々な種類の獺祭がリリースされており、今後も新たな銘柄が誕生していくでしょう。
獺祭の美味しい飲み方や気になるおつまみについても紹介しましょう。
獺祭は、香りが強く味わいが爽やかなのが特徴な銘柄が少なくありません。そのため、爽やかさを強めつつ香りも損なわれない温度まで冷やしておくのがおすすめです。もちろん好みによるので、お燗でいただいても常温で楽しんでも美味しく飲めます。
香りを楽しむために小ぶりのワイングラスを使ったり、口幅の広い盃を使ったりするのがおすすめです。特におつまみの香りが強い場合は盃の方が酒器に香りがつきにくく便利です。
180mlや720ml瓶の場合は、封を開けたら飲み切ってしまうのがおすすめです。獺祭は香りや味わいが魅力ですが、開封して空気に触れると徐々にそれらが損なわれます。他の日本酒であれば、寝かせれば美味しくなる銘柄もありますが、獺祭はそうではありません。一升瓶タイプでも早めに飲み切ってしまうのがおすすめです。
保存にも注意しましょう。縦に置くことと冷暗所に保存することです。これは日本酒全体にいえることですが、獺祭も例外ではありません。
ワインのイメージが強いおつまみですが、獺祭にも適しています。華やかな香りの獺祭とチーズは香りをお互いに補い合い、より香りが高まります。特に香りが華やかな獺祭三割九分とチーズとは高相性です。
意外と柑橘類との相性も良いのでおすすめです。特に獺祭スパークリング45とは相性がよく、スパークリングの爽快さがより強調されます。スパークリングワインのようにフローズンフルーツをお酒の中に入れてしまうのもよく合います。
鯛やひらめ、カレイ、カワハギ、太刀魚など白身魚の刺身もおすすめです。あっさりとしたうまみのある魚と華やかな香りとすっきりとした味わいの獺祭は、高相性といえます。和食のおつまみで獺祭を楽しみたい方は、加えてみても良いでしょう。
このように魅力的な獺祭ですが、お酒自体が飲めない方などは他の方に譲りたいと考えている方も多くいます。そんな方々におすすめしたいのがお酒の買取査定です。
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獺祭は、日本酒の中でも特に人気の一本で、日本酒のことをあまり知らない方でも知っている銘柄です。山口県の岩国市にある旭酒造で作られた杜氏を起用せず生み出されている獺祭は、すっきりとした味わいと華やかな香りが魅力でもあります。
世界的な要人にもギフトとして贈られた獺祭は、オークションでも高額な評価をされている日本酒です。それでいて一般の方でも比較的気軽に購入できる価格帯の銘柄もあるのが魅力と言えるでしょう。そんな獺祭ももったいなくて飲めないという方や他の方に譲りたいという方は、是非お酒買取査定を利用してみて下さい。
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