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日本酒は全国で作られていますが、醸される地域や酒造ごとに個性が大きく異なります。今回は個性派と言われる銘柄の中から、「風の森」を紹介します。
風の森は生酒がメインで、自然な発泡感と濃厚な旨みを楽しめるのが魅力です。ラインナップや特徴を解説していくので、ぜひ参考にご覧ください。
目次
そんな油長酒造が現代的な吟醸酒づくりに取り組んだことで生まれた銘柄が「風の森」です。風の森は1998年に生まれたという比較的新しいシリーズとなっています。歴史的な酒造ですが伝統製法にこだわらず、若い蔵人をメインに独創的な日本酒づくりに尽力していることが特徴に挙げられます。
油長酒造はこの“風の森”で一躍有名になります。2000年代からはこれまでの普通酒メインの酒造りを止め、純米系のお酒造りのみにシフトしています。
風の森にはいくつかのシリーズがありますが、全て純米造りの無濾過生原酒となっています。製造過程で加水もなされていないのが特徴で、素材そのままのフレッシュな味わいを楽しめるのがポイントです。生のお酒をそのまま瓶詰めしているため、炭酸ガスによる自然な発泡感を楽しむことができます。しゅわしゅわとした飲み心地で、非常に飲みやすいと人気です。
そして微炭酸の中からは、お米の濃厚な旨みとシャープな引き締まりを感じ取ることができます。シリーズによって使用米が違うので、飲み比べてみるのも面白いかもしれません。全てアルコールは添加されていない純米のお酒であり、真中採り、笊籬採り、氷結採りといったさまざまな工夫で醪をしぼり作られています。
#えん大酒樹
風の森の飲み比べ
左から純米、純米真中、純米大吟醸、純米大吟醸真中
それと生牡蠣 pic.twitter.com/kZT6Cixzjm— シバネコ (@shibatneko0812) July 20, 2019
風の森は近代の生酒ブームの火付け役ともなった銘柄です。生酒が好きなら、ぜひ試してみる価値があるでしょう。軽快でありながら旨みもたっぷりな風の森は、日本酒初心者さんにもおすすめです。
もともと日本酒というのは、絞った後に加熱殺菌などを行うことが基本です。しかし風の森のような生酒は、あえて火入れをしないまま瓶詰めすることで、お米が持つポテンシャルを存分に発揮してくれるのが特徴です。これは近代になり、火入れをしなくとも品質を保ちながら瓶詰めできるように技術が進化したからこそ生まれたものです。
風の森を手がける油長酒造は、独自設計の特殊なタンクを採用しています。醪の温度を抑え発酵の速度を穏やかにする工夫がなされており、じっくりと時間をかけてお酒が醸されていきます。この技術により、30日以上をかけての長期発酵が可能となりました。こうして醸される風の森は、白ぶどうやライチを思わせるようなフルーティーな香りとボリュームを感じられる生酒に仕上がっています。
【風の森】
奈良扁平精米
奈良県産 秋津穂657
無濾過 無加水 生酒日本酒発祥の地、奈良を代表するお酒風の森です!?
風の森の酒米によくある数字、今回でいうと秋津穂657の「657」とは精米65%、7号酵母という意味となっております?#日本酒 #風の森 #とりわさ #藁焼き #昆布締め pic.twitter.com/F8cKAtlGoq
— 焼き鳥と日本酒【九段 とり秀】 (@torihide2021) January 31, 2023
風の森の定番品にはいくつかの商品があります。商品名を見てみると、「風の森 秋津穂657」といったように、3ケタの数字が書かれているのを確認できます。
この数字は精米歩合と使用酵母を意味しています。例えば秋津穂657の場合、「秋津穂」という酒米を65%で精米し、7号酵母を使って醸しているということになります。
なお風の森は、80%など低精白米を使用していることも特徴に挙げられます。トレンドの日本酒は大吟醸酒のように高精白米を使ったものが多いですが、風の森ではお米本来の特性や栄養を活かすために、あえて低精白米が採用されています。
力強い麹菌を使っているため、低精白でもしっかりとお米が溶けており、これが深い味わいにつながります。技術力の高さから作られるお酒とも言えるでしょう。
風の森は同じ精米歩合、同じ酵母のお酒を、複数の酒米で作っています。使用される酒米は契約栽培米「秋津穂」や奈良県のみの酒米「露葉風」など、地元のお米にこだわったものが多いです。
このほか山田錦や雄町、愛山といった人気の酒米も採用されています。低精白の生酒だからこそ、お米の香り・味の違いを実感しやすいです。
風の森 秋津穂657は風の森の中でも最もスタンダードな始まりの1本です。全量が地元の契約栽培米という質の高い秋津穂を使い醸したお酒で、お米のボリュームを感じることができます。
こちらは65%精米でいわゆる純米酒の扱いですが、透き通るような口当たりと滑らかな質感を実感できます。中口で淡麗なお酒であり、10度前後に冷やして飲むのがおすすめです。
こちらも秋津穂を使ったお酒です。精米歩合50%の純米大吟醸酒で、ピチピチとした印象を感じるフレッシュなお酒です。赤梨を感じさせるような上品な甘みがあり、ほのかな酸味とキレも感じられます。
吟醸香が綺麗なお酒なので、しっかりと冷やして飲むのが良いでしょう。秋津穂657に比べるとよりドライ・淡麗な印象で、飲みやすいお酒をお探しの方にもぴったりです。
露葉風は奈良県でのみ生産される酒米です。心白が大きいことが特徴であり、このお米で作られるお酒は複雑味があり豊かな味わいになるのが特徴です。
50%精米の純米大吟醸酒で、風の森シリーズの中でも特に甘みや旨みが強めです。フルーティーなお酒をお求めの方におすすめです。
807シリーズは、精米歩合をあえて80%と高く設定したシリーズです。お米をあまり磨かないことで、豊かな複雑味がうまく表現されています。
独特な酸味と渋みが印象的な1本で、風の森の中でも個性派と言えます。旨味のバランスを感じたい方におすすめです。
山田錦で作られた807シリーズは、複雑な旨味とボリューム、酸味のバランスを感じることができます。山田錦は酒米の王様と言われるお米で、ふくよかな風味が特徴的です。
低精米の場合は雑味が出やすいと言われていますが、風の森は雑味を抑えたすっきりな味に仕上げています。807シリーズの中では、他に比べやや淡麗な味わいとなっています。
“オマチスト”と呼ばれるファンに愛される雄町米を使った風の森です。雄町は溶けやすいお米であり、このお米を長期低温発酵でじっくりと醸すことで白桃やマスカットのような甘みが表現されています。
同じ807シリーズの山田錦などと比べてもその差は歴然です。甘みと複雑さを感じたい方はこちらを選んでみましょう。
愛山は酒米のダイヤモンドと表現されるお米で、雄町の系統を受け継いでいます。愛山によるお酒は甘くてジューシーな仕上がりになるのが特徴で、風の森の愛山は透明感たっぷりの仕上がりです。
風の森の中でも春先のみの限定発売で、やや希少なお酒です。出会えた方はぜひ試してみてください。
秋津穂の80%精米は、熟したメロンやバナナのような甘い香りが印象的です。甘さ一辺倒ではなくほんのりとした酸味と苦味がアクセントになっています。
807シリーズの中でも濃厚な印象で、とろりとした舌触りです。奈良らしいお酒、そして風の森らしい1本をお求めの方はぜひこちらを選んでみてください。
風の森には「ALPHA」シリーズと呼ばれるラインナップもあります。風の森ALPHAは「従来の風の森の枠を超えて目標を定め、独創的な技術で日本酒の可能性を追求するブランド」と紹介されているように、新しい技術で新しい取り組みをしている日本酒です。
例えば飲みやすい低アルコール酒や高精米のお酒、あえての火入れ酒などを展開しています。それぞれのボトルでテーマが違うので、ぜひ注目して見ましょう。
ALPHA1はアルコール分が低めに設計された日本酒です。ただアルコールが抑えめになっているだけではなく、果実味や密度のある日本酒を目指して作られています。優しくて柔らかな口当たりは、今まで日本酒に親しんでこなかった方でも挑戦しやすく可能性を感じます。
これで寝落ちするんだろうなぁ?#油長酒造#風の森 ALPHA2この上なき華
これは旨い!
滑らかでスイスイと呑めてしまう?
何かアテが… pic.twitter.com/Oa1fg15kfW— たけぽん (@3RVOrHEtZj3NzkZ) April 23, 2023
「この上なき華」と名付けられたALPHAシリーズ2番目のボトルは、上質な秋津穂を22%まで精米して作られたお酒です。これまでの風の森の特徴であった低精米のお酒との違いを堪能できる1本で、複雑で華やかな香りが印象的です。
フルーティーな吟醸香、そしてサラリとした綺麗な飲み口で淡麗辛口派の方におすすめです。
今日は「風の森 ALPHA3 世界への架け橋」で祝杯! #長油酒造 #風の森 #ALPHA3 pic.twitter.com/e5EVHtNrwF
— Renesis (@Renesis17) July 25, 2023
ALPHA3はシリーズ唯一の火入れ酒です。風の森らしいフレッシュな味わいを残しつつ、安定した品質を保てるように工夫がなされています。
海外輸出を見越して火入れをして作られているため、「世界への架け橋」というネーミングがつけられています。
「風の森ALPHA4 新たなる希望」
油長酒造さんが特許を取得した独自の上槽方法「氷結採り」。かつて無い味わいの透明感と質感の追及。これぞ究極のお酒です。限定6本入荷しましたが、1本は私が飲みますので残り5本です。#風の森#油長酒造#氷結採り#ALPHA5#7号酵母#秋津穂#精米歩合22#菩提酛 pic.twitter.com/obhKT8sxiG— 熊谷太郎(La Jomon) (@rockonjo) October 22, 2022
独自開発の日本酒分離技術「氷結採りⓇ 」を採用し作られた上位ランクのお酒です。無酸素、無加圧でもろみから日本酒を分離することで、圧倒的な透明感が生まれています。1本7,700円と価格も高めですが、特別な日に選ぶお酒をお探しの方におすすめです。
5番目のシリーズは、燗酒のために作られた風の森となっています。乳酸発酵の酒母を用い、さらに仕込み水の代わりに一部古酒を用いることで自然な甘みを表現しています。
もちろん燗酒だけでなく、冷やして飲むのもありです。温度帯による違いを楽しむことができるでしょう。
風の森 ALPHA6 6号への敬意?
新政から6号酵母を分けてもらって
白麹を使用して醸造したもの
ガス感があってスッキリした口当たり
ブドウのようなフルーティな香りで
酸味と苦味が入り混じる(´∀`*)
#風の森 #アルファ6 #日本酒 pic.twitter.com/YqiZUuWWlW— バフ (@buff721) March 17, 2023
ALPHA6は6号酵母を使って醸した日本酒です。6号への敬意を込め、精米歩合も66%と揃えられています。選ばれた酵母はプレミア酒として人気を博した「No.6」新政酒造から譲り受けたもので、ここに風の森らしさが加えられています。
本日は風の森alpha8頂いてます。
香りと含んだ瞬間はいつもの風の森ですが、どっしりした酸味です。
#日本酒
#風の森
#油長酒造
#ヤマツ柳屋 pic.twitter.com/RhErsD8h97— Tom.S (@nightlich13) October 25, 2021
ALPHA8のボトルはお米を玄米のまま醸造したという、精米歩合100%のお酒です。玄米をビールの麦芽のように焙煎して使用することで、発酵を可能にしています。
大地を感じる力強さで、これまでの日本酒にはない独特の味わいです。
生原酒である風の森は、1瓶で2通りの楽しみ方ができるのが特徴です。「炭酸ガスがある状態」そして「炭酸ガスが抜けた状態」で感じ方が変わるので、ぜひ変化を楽しんでみましょう。
開栓直後は炭酸ガスのプチプチ感が存在しています。炭酸といってもソーダを加えているわけではなく、お酒製造の過程で生まれる自然由来の炭酸ガスとなります。そのため口当たりは優しく、ナチュラルな発泡感を味わえます。ほんのりと冷やしてフレッシュ感を楽しむようにしましょう。
開栓後すぐに飲み切ってしまうのもいいですが、数日経つと炭酸ガスが消失していきます。ガスが消えた後は、お酒本来の旨みを感じやすくなります。果実香や甘みを堪能できるので、ぜひ時間をかけてじっくりと味わって見てください。
風の森のような人気の日本酒には、高い価値がつけられています。ここで紹介した以外にも限定発売のボトルや特別製法で作られたボトルが存在していて、中には手に入りにくいレアボトルも存在しています。
そんな風の森は、お酒買取でも値段がつくケースが多いです。未開封の風の森を売りたいという方は、ぜひお酒買取専門店リンクサスにご相談ください。
なお風の森は生酒なので、飲み頃が早く設定されています。迷っているうちに価値が下がってしまうということもあり得ますので、できるだけ早めにご相談いただくことをおすすめします。
リンクサスのお酒買取は店頭買取のほか、出張買取や宅配買取にも対応しており全国からご利用いただけます。風の森以外の日本酒買取や、そのほかのアルコールについても対応可能なのでまずは一度お問い合わせください。
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奈良県で作られる「風の森」は、無濾過無加水の生原酒でこだわりを持って作られています。あえて高精白米を使用したり、独自の製法を採用したりと革新的な取り組みで作られているのも特徴です。
風の森は微発泡感とお米の持つ旨みを楽しめるお酒で、日本酒ファンから大きな注目を集める銘柄です。ぜひこの機会に、風の森に注目してみてはいかがでしょうか。
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