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ザ・ロイヤルハウスホールドは、格式のあるウイスキーなのですが、実はイギリス以外では日本でしか味わうことが出来ないという珍しいお酒として注目されてきました。
ザ・グレンリベット、ザ・マッカランなどシングルモルトウイスキーには「The」の称号、つまり英国王室御用達の誉を受けた銘柄が数点ありますが、ブレンデッド・ウイスキーではあまり見当たりません。ザ・ロイヤルハウスホールドだけかも知れません。
そしてそもそも生産量が少なく希少価値が高いことや、昨今のウイスキーブームを追い風に、高値で取引されています。
もし頂きものがご家庭に残っているようならご自身で味わうことをお勧めします。しかし飲まれないようでしたらウイスキー買取を強化しているお酒買取専門店などで買取査定をするものおすすめします。そのためにもロイヤルハウスホールドとはどのようなウイスキーなのか解説いたします。
目次
Just stayed in the Rodel Hotel on Harris on outer Hebrides. Lovely place I remember well from long ago. pic.twitter.com/YI0NGjIFvL
— Robin Murray (@robinthemint) April 27, 2016
このホテルは現在閉鎖中だそうですが、古城を思わせる佇まいの中で飲むロイヤルハウスホールドはどんな味わいなのでしょうか。
さて日本への輸入販売のきっかけとなったのは、昭和天皇がイギリスを訪問した際に王室からのプレゼントとして渡されたのが縁だとされています。
そもそも英国王室と日本の皇族に友好関係があったため、日本だけに販売が許可されたという理由のようです。イギリス本土でも限られた場所でしか飲めないウイスキーが、高価ではありますが日本国内であれば普通に流通し、どこでも飲むことができます。
つまり日本には相当数量のロイヤルハウスホールドが眠っているはずなのです。現在販売されているロイヤルハウスホールドには「The」がついていません。1993年に王室御用達から外れたため、「The」 を名乗ることができなくなったのです。
そのため「The」のつくロイヤルハウスホールドは希少価値が高まりオールドボトルとして高額で取引されるようになっています。さらに初期に製造されたザ・ロイヤルハウスホールドは、キャップの部分が古いタイプの「ティンキャップ」と呼ばれる方法を採用していてさらに価値が高まります。
現在流通しているロイヤルハウスホールドでも充分高価なのですが、ラベルやキャップの違いに注意していると、思わぬ珍品に巡り合うかも知れません。
ザ・ロイヤルハウスホールドの製造方法を知るために、製造元である「ジェームス・ブキャナン社」について調べてみました。
ジェームス・ブキャナン社は、1879年にジェームス・ブキャナンがスコットランド西部の低地にあるクライド川に面する港湾都市グラスゴーにウイスキー卸売業を創業したことから始まります。
その後ブキャナン氏はウイスキーのブレンダーに転身すると、1884年独自のレシピでブレンドした「ブキャナンズ・ブレンド」が評判となり、酒屋だけでなく飲食店やホテル・バーにも販路を拡げ大成功を収めるようになりました。
その評判はイギリス王室にも届き、1898年には「ブキャナンズ・ブレンド」が王室御用達に指名されます。それがザ・ロイヤルハウスホールド誕生のきっかけとなります。ジェームズ・ブギャナン社は、ほぼ同時期に英国王室から皇太子(後のエドワード7世)専用のブレンデッド・スコッチウイスキーを造るよう勅命を受けます。
数種類のブレンドを提案した中から選定されたのがのちにザ・ロイヤルハウスホールドとして採用されます。ザ・ロイヤルハウスホールドは、ブキャナン社が所有するダルウィニー蒸留所で造られた、ダルウィニーやグレントファースなど数種類のモルトウイスキーとグレーンウイスキーをブレンドして造られます。
原料の違いからモルトウイスキーとグレーンウイスキーに大別されますが、前者は小麦、後者は大麦やトウモロコシなどが主な原料で、味わいと香りに違いが表れます。ザ・ロイヤルハウスホールドは、「ダルウィニー」をキーモルトに、45種類のモルト原酒・グレーン原酒(著名な原酒はグラントファース、そしてグレンダランなど)をブレンド、門外不出のレシピで作られています。
No.29 ダルウィニー蒸留所(Dalwhinnie Distillery)2018年
大きく開けた盆地にぽつんとある蒸溜所
9月から3月の冬季はツアー無料です!
大きなポットスチルが2つで、屋外にはでっかいワームタブ
自然の冷気でニューメイク冷やして「ウインターズ・ゴールド」を作っているらしい。 pic.twitter.com/dig2u8cmrt— hotaka_Liqac (@h_liqac) October 18, 2021
製造元のジェームス・ブキャナン社には〈ブラック&ホワイト〉という有名ウイスキーがあります。他にはブキャナンズ12年、そしてロイヤルハウスホールドのみです。
ウイスキーやワイン、シャンパンなどを取り巻くグローバル化から、現在の製造(ブレンド)はブキャナン社を傘下におくディアジオ社が行なっています。また流通や販売は同系列であるモエヘネシー社が行なっています。
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ザ・ロイヤルハウスホールドというウイスキー誕生については別項でも軽く触れてきました。しかしその背景を知るには製造元であるジェームス・ブキャナン社の歴史について知る必要があります。
ここではザ・ロイヤルハウスホールドというウイスキー誕生、さらジェームス・ブキャナン社の歴史という二部構成で整理します。
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1890年頃、当時イギリスの皇太子(後のエドワード7世)であったアルバートエドワードは大のウイスキー好きでした。全ては、ここから始まります。
1897年 「ブキャナンズ・ブレンド」が評判となっていたジェームス・ブキャナン社に、皇太子は自分専用のブレンデッド・ウイスキーを作るよう依頼します。数種類のなかから選ばれたのが、のちにザ・ロイヤルハウスホールドと命名されます。
1898年こうした功績が認められ、ジェームス・ブキャナン社は皇太子御用達のロイヤルワラント(勅許状)を授かります。
1901年皇太子が国王エドワード7世に就任すると、ジェームス・ブキャナン社は王室御用達という誉を受けることになります。その後、国王の弟で後のジョージ5世となるヨーク公夫妻が世界一周の船旅に出掛けた際の積み荷として世界を旅した事から、王室御用達のウイスキーとして認知されるようになりました。
実はザ・ロイヤルハウスホールドという名前も、この旅を通じてヨーク公自らが命名したと言われています。
1920年代昭和天皇が皇太子時代にイギリスを訪問した際、王室から友好の印としてザ・ロイヤルハウスホールドをプレゼントされました。以来、英国王室の特別の許可が与えられイギリス以外では日本だけで飲むことができるようになりました。
しかしザ・ロイヤルハウスホールドが英国王室のロイヤルワラントを授かっていたのは1993年まででした。ロイヤルワラントは5年ごとに見直しされますが、この年を境に更新されていません。
理由は公表されていませんが、1994年にチャールズ皇太子が愛飲されている「ラフロイグ10年」がロイヤルワラントを授けていることから、入れ替わったという噂が絶えません。これをきっかけに「The」を冠することが出来なくなり、王室の紋章もブキャナン社のマークへ変わるなど、ジェームス・ブキャナン社にとっては大きな転機になりました。
さらに原材料が作られる蒸溜所も変わりましたが、ブレンドレシピはブキャナン社に引き継がれ、「The」た付かない新たなロイヤルハウスホールドが製造されます。そして「The」を冠した製品の希少価値が急激に高まっています。特に英国以外では日本市場が注目されています。そのため当該製品の取引価格も高騰しているのです。
Whisky heroes: James Buchanan | Scotch Whisky https://t.co/sZXTQZoKxr pic.twitter.com/fx1OEEA59X
— Whiskey About (@whiskeyaboutlb) August 25, 2016
ジェームス・ブキャナン社の代表者となるジェームス・ブキャナンは、1849年8月16日、西カナダのブロックビルで生まれ、スコットランドの移民家族として育ちます。
1850年ブキャナン家はスコットランドに帰国、その後北アイルランドに移住します。
ブキャナン氏は14歳から海運会社、干し草、穀物、種子のビジネスなどで経験を積む。
1884年、ジェームス・ブキャナン&Coを設立しウイスキービジネスに参入しました。
1885年ジェームス・ブキャナン社は英国議会下院へのウイスキー供給権を取得。
1889年ブキャナン社の製品はパリ百周年記念展で金メダルを獲得しました。その後の成功は、前節の通りです。そうした評判から1897年当時イギリスの皇太子(後のエドワード7世)であったアルバートエドワードからウイスキー作りを依頼されます。
この製品には名前はなく「特別に選ばれたスコッチウイスキー」と呼ばれていました。1901年、ブキャナン社はザ・ロイヤルハウスホールドと命名されたウイスキーで英国王室のサプライヤーになりました。
さらに1907年日本の天皇とスペイン王室の公式サプライヤーになるようにも依頼されています。そして1922年には貴族の称号を受け取っています。ジェームス・ブキャナン社は現在〈ブラック&ホワイト〉という有名ブランドを基軸に、ブキャナンズ12年、そしてロイヤルハウスホールドを作り続けています。
旧製品も現行品も、ブキャナン社門外不出のレシピにならいブレンドされています。使われているモルトやグレーンの種類も一部を除いて公表されてません。それは前述のとおり“「ダルウィニー」をキーモルトに、45種類のモルト原酒・グレーン原酒(著名な原酒はグラントファース、そしてグレンダランなど)”です。
「ダルウィニー」とは ブキャナン社が所有する蒸留所でありシングルモルトの名前にもなっていて、メインブランドのブラック&ホワイトの原酒も作られている場所です。ダルウィニー蒸留所を知ることで、ロイヤルハウスホールドが生まれた理由に近づくことができるでしょう。
ダルウィニー蒸溜所の創業は1898年で、ダルウィニー(DALWHINNIE)とはゲール語で「落ち合う場所」「中継所」を意味し、スコットランドのハイランドからローランドへ家畜を売りに行く際の中継点だったことに由来しています。
創業当時はストラススペイ蒸留所と呼ばれていましたが、1905年に現在の名称に変更しています。スコットランドで最も標高の高い(1,073フィート、約326m)位置にあり年間平均気温は約6度、人が居住している地域ではスコットランドで最も寒い場所です。
蒸留所は政府の気象観測所も兼ねていて、毎朝気温と湿度を計測するのもスタッフの仕事にもなっています。あまり知られていない蒸留所ですが、自家製麦、木桶発酵、ストレート型の蒸留器、ワーム・タブでの冷却など、一昔前の製造方法を守る数少ない蒸留所です。
ダルウィニー15年 43% pic.twitter.com/w8Gvg5irZl
— TSUBASA (@TT15763667) May 8, 2022
取水源はグランピアン山脈の雪解け水を湛えるアルタナスルイー川で、蜂蜜のような甘味と穏やかな香りを生み出しています。麦芽はライト・ピーテッドで、自家製麦を行っている今では珍しい蒸留所の一つです。
発酵槽は木樽6樽。蒸留器は初留釜が16,900リットル、再留釜は16,500リットル。各1器の計2器備えており、形状はストレート型(プレーン型)なので蒸留成分がそのままラインアームに到達し強く重厚な味わいにつながります。
コンデンサー冷却器は、ワーム・タブ。ワーム(蛇管)の中をアルコール蒸気が通り、周囲の水で冷やされて液化するため酒質にとろみが生まれ重厚になります。
年間生産量の5%がシングルモルト用、95%がブラック&ホワイトなどのブキャナンズブランドのブレンドウイスキー用として利用されています。モルトは昔ながらの製法で作られるいて、ロイヤルハウスホールドのキーモルト「ダルウィニー」は以下のように評されています。
銘柄 | ザ ロイヤルハウスホールド |
流通価格 | 130,000円 |
評価 | ☆×6 現行品と蒸留所が違うためよりスモーキー臭が強い。そして果実のような甘さ、複雑な香り。 |
味・特徴 | 名称にTheが付き、王室御用達を示す専用の紋章がついています。 グレントファース蒸留所という表記も現行品と違います。 華やかな香りと甘さは現行品に受け継がれていますが、この時代の方が麦芽の香りが強いとう感想が見られます。 |
銘柄 | ロイヤルハウスホールド |
流通価格 | 30,000円 |
評価 | ☆×4 香、味申し分なし、上品な酒です。 しかし、がっちり系のウイスキーが好みの方には物足りないかもしれません。 |
味・特徴 | 香りが華やかでリンゴや洋梨と評することが多いようです。 スモーキー臭、ピート臭が少ないため口当たりが良く、初心者でも楽しめます。 余韻が長く、ココアやシナモンを感じさせるという感想もあり、女性にも人気です。 |
銘柄 | ザ・ロイヤルハウスホールド(ティンキャップ) |
販売参考価格 | 417,577円 |
取引価格 | 300,000円以上 |
味・特徴 | 昭和20年代から30年代前半に流通したティン・キャップという珍らしいモデルで、当時は一般発売はされていません。購入するには会員登録が必要だったようです。 |
飲んだ方の印象をまとめると、華やかな香りと甘さを上げる人が多いようです。個人差はありますが、花のようだという方もいればフルーツ(桃やりんごをドライフルーツにした)のようなと例える方もいます。味わいの特徴は「甘さ」。かと言って砂糖のような甘さではありません。ウイスキーとして角がない、という表現が相応しいかも知れません。
一方、クセが無さすぎて印象が薄いという意見もあります。モルトとグレーンを複雑に組み合わせ、至高のブレンドに仕上げたのですから完成度の高さは想像できます。そのウイスキーに相応しいに飲み方は、やはりストレートやロックを勧める声が多いようです。
「アルコールアタックがほぼないのでスイスイいける。」という意見が見つかりました。またストレートかロックで味わった後に少しずつ加水していき、お気に入りの濃さを探すのがいいという声も。加水しても味わいや香りは崩れにくいということでしょう。
氷は入れず、冷たい水だけで割った濃いめの水割りも気になるところです。いずれにしてもブレンド本来の味わいをじっくり楽しむ、時間をかけて嗜むウイスキーなのです。
本日はBlack&White
短熟のグレーンウイスキーとか苦味嫌いじゃなかったらストレートでスイスイ呑めるな☺️ pic.twitter.com/bN6BUOpUKd
— 山椒うお (@sansan3syouo) February 15, 2022
いずれも状態によりますが、箱とくに木箱が付いているとさらにウイスキーの買取査定額があがる場合があります。通常オールドボトルは価格が付きづらい事もありますが、このウイスキーに関しては評価が反比例します。是非、買取査定のご相談をお気軽にご利用ください。
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ロイヤルハウスホールドは、状態が良ければオールドボトルほど珍重される傾向にあります。
まずは1993年以前に製造されラベルが現行品と違い「The」が付いていること。さらに1950年代に製造された ボトルキャップが違うもの(ティンキャップと呼ばれている)。この2つに注目しましょう。と言っても、希少性が高くなかなか目にすることも、味わうことも難しくなっています。
しかし現行品なら、少し頑張れば手が届く価格ですのでまだ飲まれていない方はぜひ試してみてください。
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