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「口噛み酒」というお酒を聞いたことがありますでしょうか?
口噛み酒は日本酒の起源になったお酒と言われるもので、名前の通り“口で噛んで”作られるお酒です。言葉だけを聞くとギョッとするかもしれませんが、人気の映画や漫画などで取り上げられたことで近年話題となりました。
今回はそんな口噛み酒について紹介します。本当に実在するのか、どうして噛むことでお酒ができるのかなどを知りたい方はぜひ目を通してみてください。
目次
文化庁”メディア芸術祭”の受賞作発表、大賞は「君の名は。」 https://t.co/Ze8BD70ZQL 最高位の大賞は、新海誠監督の映画「君の名は。」(アニメーション部門)、庵野秀明総監督の映画「シン・ゴジラ」(エンターテインメント部門)などに贈ります。 pic.twitter.com/jEmBNS8cjc
— LINE NEWS (@news_line_me) March 16, 2017
口噛み酒とは、お米など穀物を口に入れて噛んだあと、それを吐き出して放置して作るお酒のことを指しています。大人気映画『君の名は。』でこのワードが取り上げられたため、聞いたことがある方も多いかもしれません。
結論から述べると、口噛み酒というものはかつて実際に存在していました。紀元前、縄文時代や弥生時代の頃に作られていたとされており、当時は巫女の仕事として口噛み酒が作られていたのではないかと伝えられています。炊いたお米を口に含み、しばらく噛んだのちに壺に入れ数日放置して作られるのが口噛み酒です。
この頃に作られていた口噛み酒は、現在の日本酒の起源にもなったと考えられています。当時の書物『大隅国風土記』にも「口噛みノ酒」という記述があることが確認されています。
映画『君の名は。』においては、ヒロインの三葉がストーリーの中で口噛み酒を作っていました。神事を司っていた宮水家の血を引く彼女が巫女役となり作った口噛み酒は、物語の中の重要な出来事を引き起こすアイテムとして注目されました。
日本酒を作ることを、現代の言葉では“醸す(かもす)”と言います。醸すという言葉は、口噛み酒の“噛む”という言葉から来ていると言われています。
ちなみに当時、口噛みの作業は巫女が行うべきとされており、女性だけによって行われていたそうです。特に神を祀る際の“御神酒”は若い未婚の女性が噛んで作ったお酒でなければならないとされており、神聖なものとして扱われていたのがわかります。若い女性が口噛み酒を作ることから、「美人酒」と呼ばれていたこともあるそうです。
当時は大病を患ったことのない若い女性が作る方が美味しく神聖なお酒が作られる、と考えられていて、処女であればなお良しとまで考えられていました。
一体なぜお米を噛んで放置するだけでお酒が出来上がるのでしょうか?これは口に一度お米を含むことで、唾液により糖化が進み、アルコール発酵が促されていくというメカニズムによるものです。
お酒=日本酒というのは、お米に含まれるでんぷんを糖分に変え、その糖をアルコール発酵させていくことで作られます。アルコールの成分は糖を発酵させることで生まれますが、お米そのものには糖は含まれていないので、まずはでんぷんを糖分に変えるという作業が必要になります。
現在の日本酒作りではでんぷんを「麹」で糖化し、「酵母」で糖を発酵させていくことでアルコールを発生させています。全国各地にある酒造はこの麹や酵母にこだわり、日本酒の味を整えています。
しかし当然ですが弥生時代にはこのような技術はありませんでした。当時はお米を噛むことで、唾液に含む「アミラーゼ」という成分でお米を糖化していました。そして唾液により糖化したデンプン質を含むお米を壺のようなものに入れて放置することで、自然界にある酵母(野生酵母)がアルコールを発生させていたのです。この仕組みが徐々に進化し、現代の酒造りにつながっていったとされています。
口噛み酒は清酒と呼ばれる日本酒と違い、ろ過などの作業は行われません。そのため原料に使われたお米が、そのまま中に残っているような状態となります。
状態としては清酒ではなく「どぶろく」に近いです。糖化したお米がそのまま残っているので、一般的に想像されるような清酒の味よりも甘みがあり、発酵によるヨーグルトのような酸味も感じられます。なお口噛み酒のアルコール度数は、およそ9〜10%程度になると言われています。お米を噛んで放置するだけでこれだけのアルコールが発生するのは、なかなか興味深い技術と言えるのではないでしょうか。
口噛み酒のにおいは「キツい」「臭い」と言われることが多いです。清酒の整えられた香りに慣れている現代人にとっては、当然のことと言えるかもしれません。
発酵食品にありがちなツンとしたニュアンスがあり、においを嗅ぐだけで抵抗感を覚える方も多いでしょう。美味しさや香りの良さを求めてお酒を飲みたがる人こそ、口噛み酒は臭いと感じやすいです。
一度お米を口に含み吐き出して作るという口噛み酒は、どうしても「汚い」というイメージが付きまといます。衛生的に問題はないのか?と気になる方も多いことでしょう。
口噛み酒は作る上でアルコールが発生するので、衛生的には大きな問題はありません。アルコールとして発酵がきちんと進んでいれば、腐った状態にはならず飲むこと自体は可能です。
しかし現代人の食事や飲酒には、視覚や感覚といった気分的な要素も大きく関係してきます。衛生上では問題がないと言われても、なんとなく汚いような気がするのは当たり前のことかもしれません。また場合によってはアルコール発酵が正しく進まずに、雑菌が繁殖してしまっていることもあるでしょう。そもそも現代のお酒のように研究されて生まれたものではないので、もし飲めたとしても、味自体は美味しくないと言われています。
口噛み酒はあくまでも、今から何千年も前に生まれた文化です。当時のお酒は一般的に飲まれるというものではなく、神に捧げられるもの、神秘的なものとして扱われていた部分が大きいです。
口噛み酒は紀元前に生まれた人々の工夫と知恵で面白いアイディアではありますが、決してお酒の美味しさを追求されてできたアルコール飲料ではないということを覚えておきましょう。
古き時代に作られていた「口噛み酒」。しかし日本では現在、酒税法という法律があるため口噛み酒を製造したり販売したりすることはできません。
酒税法は酒類の製造や販売について定められた法律で、この法律上では特別な免許を持たない個人がアルコールを製造することを禁止しています。口噛み酒もお米を発酵させているので、酒税法上の「酒造行為」に該当し、製造や販売は法律違反にあたります。
そもそも口噛み酒は安全性が確保されておらず、酒税法がなくとも危険な飲み物です。映画の真似をしたいからと言って興味本位・好奇心で作ったり、飲んだりしてしまうことのないように注意しておきましょう。
日本では現在口噛み酒の製造は行われていません。しかし沖縄県の八重山諸島近辺では、大正時代の終わり頃まで口噛み酒が作られていたことがわかっています。
沖縄県で作られていた口噛み酒は「ミシ」と呼ばれており、うるち米を用いて作られていました。未婚の若い巫女が作るものとされており、主に儀式用の神酒として用いられていたそうです。また沖縄以外にはアイヌ族のお祭りなどでも、口噛み酒のようなものが作られていたと言われています。100年くらい前までは、日本でも口噛み酒が一部で作られていたということになります。
日本国内だけでなく、世界にも口噛み酒のようなものが多数存在しています。要は穀物を噛み、唾液で糖化・発酵させるという手法なので、お米以外の原料が選ばれることもあります。
例えばインカ帝国では、とうもろこしを噛んで作られる「チチャ」という口噛み酒が存在していました。このほかカンボジアや台湾、マレーシアなどのエリアでも口噛み酒のようなものが作られていたとされています。
選ばれる原料はその土地の伝統により異なっており、例えばタピオカの原料になるキャッサバという芋や、アワなどが原料となるようなケースもあったと言います。このように口噛み酒の文化は広範囲に広がっており、お米による口噛み酒は東南アジア近辺が発祥地なのではないかと考えられています。
そして現代でもアマゾンやアンデスの高地など、一部のエリアでは口噛み酒のようなものが実際に作られているそうです。簡単に手に入るような代物ではありませんが、今もなおその伝統は続いていることがわかります。
ここまで何度もお伝えしたように、口噛み酒は現代の日本では作られていません。原理的には自分で作ることもできますが、酒税法により製造は禁止されており、何より衛生面を考えると本物の口噛み酒はおすすめできません。
しかし映画や漫画などから口噛み酒に興味があると感じた方も多くいらっしゃると思います。そこでここからは、口噛み酒の雰囲気を味わいたい方におすすめのお酒を紹介します。
現代に流通しているお酒の中で、口噛み酒の手法に近いのが「どぶろく」です。どぶろくは白濁した見た目のお酒で、清酒と違い濾されていないので独特の甘味や酸味、ツブツブ感があるのが特徴です。
中埜酒造のブランド「國盛(くにざかり)」からもどぶろくが発売されています。國盛のどぶろくは愛知県の契約栽培米100%で仕込まれており、余計なものが添加されていません。お米本来の味と、独特のどろりとした感覚を楽しむことができます。適度な酸味もあり味のバランスに優れています。
よっしゃー!!!(*≧▽≦)
録画した「君の名は。」見るぞー!
瑠璃姉さんと同時()視聴だー!!今日のお供はもうこれしかないよね!
毎度おなじみの 蓬莱 !!
「聖地の酒」 pic.twitter.com/LFfvLOwrGX— みーでい@さいころぱわー (@me_day1123) June 30, 2019
「蓬莱」というブランドが、『君の名は。』の口噛み酒をモデルとしてリリースした特別ボトルのお酒です。中身はもちろん口噛み酒ではなく一般的な日本酒ですが、オリジナルのボトルデザインも相まって映画の気分を味わいながら飲むことができます。
蓬莱は映画の舞台となった岐阜県飛騨市のお酒で、正統派で芳醇な味わいの日本酒となっています。甘さも感じられる辛口のお酒でバランス良好です。
鶯印のどぶろくは、伝統的な製法でほとんどを手作りで醸したどぶろくとなります。どこか懐かしい、手作りらしい味わいを楽しみたい方におすすめです。
アルコール度数は6%と低く、味わいも適度な酸味のおかげで飲みやすいのが特徴です。ヨーグルトのような乳製品のニュアンスで、肌にも優しいと言われており女性にもおすすめの1本です。
コシヒカリを使用して作られる、とろり感が魅力のどぶろくです。発酵過程でできる炭酸ガスもそのまま残っていて、爽やかなニュアンスも感じられます。
アルコール10%のバランスに優れたどぶろくで、このまま飲むほかジュースなどで割って飲むのにもおすすめです。700mlボトルが1,000円台で買えるので、コストパフォーマンスに優れた1本となっています。
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口噛み酒は映画『君の名は。』に登場し話題となりました。実は映画だけの設定ではなく、実際に存在していたもので縄文時代や弥生時代から作られていたとされています。口噛み酒は日本酒作りの起源にもつながったと言われており、神聖なもの、神事の場で使われるものとして扱われていました。
あくまでも古いお酒であるため現在の日本では作られていませんが、アマゾンの奥地など外国ではまだ作られているところもあるようです。
口噛み酒は決して美味しいと言えるクオリティのものではありませんが、日本酒の歴史を語る上では欠かせない存在です。口噛み酒のニュアンスを楽しみたい方は「どぶろく」などがやや近い存在なので、ぜひ試してみると良いでしょう。
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