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ウイスキー好きなら一度は聞いたことであろう「アイラウイスキー」という言葉。いったいどのようなウイスキーか知りたいという方も多いのではないでしょうか。
今回は個性派と言われるアイラウイスキーについて解説します。蒸留所・銘柄の違いにもフィーチャーしていくので必見です。
目次
アイラウイスキーは、スコットランドのアイラ島にて製造されているウイスキーのことを指します。アイラ島はウイスキー製造が盛んなエリアで、スコッチウイスキーの6大産地のひとつとして数えられています。
アイラ島にはウイスキーを作る蒸留所がいくつもあり、各蒸留所で手がけられているシングルモルトウイスキーが「アイラウイスキー」と呼ばれます。アイラ島のシングルモルトは、「アイラモルト」の愛称で呼ばれることも多いです。
アイラ島のウイスキーは、非常に強い個性を持つことで知られています。いわゆる玄人向けの味わいではありますが、一度魅了されたら2度と他のウイスキーには戻れないほどの素晴らしさがあり、熱狂的なファンを集めています。
アイラ島はスコットランドの中でも北西部にあります。ヘブリディーズ諸島と呼ばれる島々の最南端に位置しており、面積は淡路島と同程度となっています。
人口3,400人程度の小さな島ですが、なんとそのうち3,000人近くがウイスキー産業に関わっているとも言われています。島の観光・産業のメインがウイスキーに関わるものとなっています。
そんなアイラのウイスキー作りの歴史は長く、最も古い蒸留所であるボウモア蒸留所はなんと1779年に創業されました。他にも1800年代より続いている蒸留所などが複数あり、アイラではウイスキーがとにかく愛されてきたことがわかります。
現代は蒸留所の数こそ9つと多くはないものの、全ての蒸留所が世界レベルで名を轟かせるほど有名になっています。ウイスキー好きの中で、“アイラウイスキー”という存在を知らない方はおそらくいないでしょう。
6大産地のスコッチの中でも、アイラウイスキーは特に個性的な事で知られています。
アイラのウイスキーといえば、スモーキーでピーティーな香りと味わい。時には正露丸と表現されるほど、非常に強い個性のあるモルトが生まれます。
アイラウイスキーがここまで個性的なのには、アイラ島独自の環境が関係しています。アイラ島は島の1/4がウイスキー作りの燃料となるピート(泥炭)に囲まれています。
ピートを炊いて作られるウイスキーにはピート香がつきスモーキーなニュアンスになりますが、アイラウイスキーは他のスコッチに比べピートの使用量が多いのが特徴です。使用される水もピートの地層を通過してきたものが多く、アイラのウイスキーに独特の個性を与えています。
またアイラ島は海に囲まれているのも大きなポイントです。潮風の影響を受けて製造・熟成が進むアイラウイスキーは、磯の香りや塩気のある味わいも持ち合わせています。
9つある蒸溜所のうち、なんと8つもの蒸溜所が海沿いにあります。これは、かつてのアイラ島は陸上の交通が発達していなかったことが関係していると言われています。
アイラのモルトは海藻を多く含むピートを使用することで、ヨード香が生まれやすくもなります。中には薬品のような香りを持つウイスキーも存在します。
アイラウイスキーは全体的にスモーキーで個性的ですが、その個性は蒸留所ごとに異なっています。アイラウイスキーの中からお気に入り銘柄を探すには、まずは蒸留所ごとの個性に注目してみましょう。
例えばアイラ島の中でも、南端にある蒸留所はクセが強い銘柄が多いです。南側にある3つの蒸溜所には「アードベッグ」や「ラガヴーリン」、「ラフロイグ」がありますが、これらはキルダルトン3兄弟と呼ばれることもあり、特に玄人向けの銘柄になります。
一方でピートが強すぎるものが苦手なら、島の北側にある「ブナハーヴン」や「カリラ」などがおすすめです。
バランスの取れたウイスキーが好きなら、「ボウモア」「ブルックラディ」などを選ぶのも良いかもしれません。
アイラウイスキーを比較する場合は味わいやピートの強さにも注目して見ましょう。アイラウイスキーの中には、スモーキーなだけでなく甘味やフルーティーな香りを潜ませるものもあります。
またアイラウイスキー最大の個性であるピートの強さは、フェノール値(単位:ppm)で判断することができます。
ピート強めのウイスキーはフェノール値が高く、例えば「アードベッグ」ならフェノール値は約55ppm、「ラフロイグ」なら約45ppm程度となっています。フェノール値が40〜50ppmほどになると、かなりスモーキーで個性的な味わいになると言えます。
ちなみに最もピートが強いと言われるウイスキーは、ブルックラディ蒸溜所が展開する「オクトモア」シリーズになります。オクトモアシリーズはボトルにもよりますが、100〜200ppm越えのピートを誇ります。
ウイスキーは熟成が進むほど、角の取れたまろやかで深い味わいになります。アイラウイスキーにも熟成ボトルが存在していて、熟成期間の長いウイスキーはそれだけ高級品として扱われます。
同じ銘柄のウイスキーでも熟成年数による違いがあるので、ぜひ比較してみましょう。
なおアイラウイスキーは、ジャパニーズウイスキーに比べやや安価で展開されているものも多くあります。12年ものでも5,000〜7,000円前後で買えるボトルがあるので、熟成ウイスキーを予算内で買いたいという方にもおすすめできるでしょう。
アイラウイスキーはシングルモルトが中心です。そのためジャパニーズウイスキーに比べると安いものの、安価で展開されるブレンデッドウイスキーに比べるとやや高価になります。
また熟成年数の長さによっても、ボトルの価格は変わってきます。購入の際は予算に合わせて選ぶようにしましょう。
安価でお手頃な個性派ウイスキーを味わってみたいという方は、アイラウイスキーをベースに作られるブレンデッドモルトやブレンデッドウイスキーもあるのでそちらをチェックしてみましょう。
またアイラモルトを購入して後悔したくないという方は、200mlのミニボトルや350mlのハーフボトルから挑戦してみるのも良いでしょう。ミニボトルやハーフボトルならフルボトルよりも買いやすい価格帯なので、まずは味を試してみたいという方でもトライやすいです。
アイラウイスキーには定番品のほか、期間限定や数量限定でリリースされている希少品もあります。アイラモルトには熱狂的なファンが多く、限定品には特に高い価値がつけられる傾向にあります。
例えばアードベッグ蒸溜所が“アードベッグ・デー”に発売するウイスキーや、各蒸溜所がいつもと違うカスク(樽)で作り上げる限定ウイスキー、普段は発売されない長熟タイプの年数表記ウイスキーなどがあります。
これらの限定品にもし出会えるタイミングがあれば、非常にラッキーかもしれません。なお蒸溜所のサービスやファンクラブ会員などになっておくことで、優先的に購入できるようなウイスキーも存在します。
さらに日本国内の各酒屋・酒販店では、限定アイラモルトの抽選販売が行われることもあります。気になる方は抽選販売などをぜひ調べてみてください。
アイラ島のウイスキー入門編としておすすめしたいのが「ボウモア」です。
ボウモア蒸留所はアイラ島の中心部にあります。
創業が1779年と、アイラ島にある蒸留所で最も古くからの歴史を誇ります。この蒸留所で作られるシングルモルト「ボウモア」は、アイラの女王という愛称で呼ばれる非常にバランスの良いウイスキーとなっています。
伝統的なフロアモルティングという製法を採用しているのが特徴で、蒸留所では見学や体験も可能です。スモーキーですが個性派すぎないウイスキーなので、アイラウイスキー初挑戦の方にもおすすめできます。
そんなボウモアのおすすめボトルは「ボウモア12年」です。スタンダードボトルであり、サントリーが正規輸入元であることから入手がしやすいです。
定価は700mlボトルで6,600円(税込)となりますが、実際は5,000円台で入手できることが多く、また手軽にトライしやすい350mlボトルも存在しています。
ブナハーブン蒸留所はアイラ島の最も北部にあります。ノンピートモルトなども採用しているので、アイラウイスキーの中では個性が穏やかで飲みやすいです。
フレッシュな風味にシェリー原酒の華やかさ、深さを感じ取れる味わいです。日本ではアサヒビールが正規輸入元となったブナハーブン12年、ブナハーブン25年が多く流通しています。
カリラ蒸留所はアイラ島のやや北部、ブナハーブン蒸留所よりもやや南に位置します。ウイスキーの生産量が多い蒸留所で、原酒はジョニーウォーカーなどブレンデッドウイスキーにもよく使われています。
そんなカリラのシングルモルトはスモーキーとフルーティーが両立した味わいです。冷却水に海水を使用しているのも特徴で、独特のフレーバーがあります。
カリラのおすすめは「カリラ12年」。金色の見た目をしているのが特徴のウイスキーです。
アイラらしいスモーキーフレーバーの中に、スパイシーさと潮の香りも感じられます。いわゆるアイラウイスキーらしい1本で、個性的な味わいでファンからの支持を集めています。
アードベッグはアイラ南岸に位置する蒸留所です。9つある蒸留所の中でも特にスモーキーなウイスキーを作っているのが特徴で、クセが強く通好みの味わいをしています。
「アードベッグ・デー」という記念日のための限定ボトルもあり、毎年リリースされる限定発売ボトルには高い価値がつけられています。
アードベッグの定番品で人気のボトルには「アードベッグTEN」や「アードベッグ ウーガダール」「アードベッグ コリーヴレッカン」などがあります。
数々の人気ボトルがある中で推したいのが「アードベッグ アン・オー」。バーボン樽、PXシェリー樽、新樽の3種類の原酒が使われています。
どのボトルも素晴らしいですが、アン・オーは日本国内終売であるため見つけたら買いたいボトルの1つになります。
非常にスモーキーでありながら、角の取れた丸みのある味わいをしています。ハイボールなどにも相応しく、甘口なアイラウイスキーをお求めの方におすすめの1本です。
ラガヴーリンもアイラ島南岸にあります。アードベッグと同等レベルのスモーキーさを持つウイスキー銘柄で、「アイラの巨人」と呼ばれており個性派好きさんに人気があります。
ヨード香が強めで、味わいも力強い印象です。
ちなみにラガヴーリンの原酒は、ブレンデッドウイスキー「ホワイトホース」にも使われています。
ラガヴーリンはスタンダードボトルが「ラガヴーリン16年」であり、他の蒸溜所のエントリーボトルに比べ熟成年数がやや長めです。
ヨード香強めのウイスキーであり、その香りは「正露丸のようだ」と喩えられることも多いです。16年ものにしては13,000円前後と比較的安価で手に入るため、リッチなアイラウイスキーをお得な価格で飲みたいという方におすすめです。
ボウモアがアイラの女王と呼ばれているのに対し、“アイラの王”と呼ばれているのがラフロイグです。蒸留所はアイラ島南岸のポートエレン港に近い場所にあります。
こちらもスモーキーで個性強めのウイスキーを作っており、強烈なヨード香が特徴的です。チャールズ国王が愛したウイスキーで、1994年には王室御用達にも選ばれています。
ラフロイグの人気ボトルは「ラフロイグ10年」です。サントリーより8,000円前後でリリースされています。
ラフロイグ10年はスモーキーなウイスキーの象徴と言うべき存在です。ヨード香、オイリーで濃厚な味わいが特徴的で「好きになるか大嫌いになるか」と言われるほどの1本です。
貯蔵庫が海辺にあるので、潮風のような香りも含んでいます。
キルホーマン蒸留所は創業が新しく2005年に始まったばかりです。歴史が浅く規模も小さな蒸留所ですが、実力は確かでさまざまな賞に選ばれています。
なお蒸留所はアイラ西部にあり、海岸沿いではなく内陸部にあります。
キルホーマンを理解する上で飲んでおきたいのが「キルホーマン マキヤーベイ」。紺色のラベルが目印で、おしゃれなボトルが人気を集めます。
フェノール値50ppmというヘビーピートのモルトをヴァッティングして作られるアイラモルトで、ピートの中にアロマも含みます。シトラスやフルーツのようなニュアンスもあり、飲み手を飽きさせません。
ウイスキーの作り分けも行っており、ノンピーテッドの「ブルックラディ」、フェノール値40ppmの「ポートシャーロット」、そして強烈なピートを誇る「オクトモア」というシリーズをリリースしています。
中でも超ヘビーピーテッドのオクトモアには熱狂的なファンがつきます。1本2万円越えするような限定品ですが、飲んでおく価値があるでしょう。
なおオクトモアシリーズはエディションNo.ごとに製造年や樽の種類が異なっており、それぞれにアルコール度数やフェノール値が異なっているのも特徴です。複数のボトルをコレクションしておくというファンも存在します。
今アイラ島にある蒸留所の中で一番新しい『アードナホー蒸留所』があまりにも面白かったので動画にまとめてみました? pic.twitter.com/ldVFf0Gu8t
— ヒデイシ/ Don’t tell Mama (@whisukej) September 30, 2019
アードナホー蒸留所は、創業が2018年と非常に新しい蒸留所です。まだまだ長熟原酒は生まれていませんが、これからの展開に期待されている蒸留所となっています。
最近では5年熟成のファーストリリースなどが発売されています。数年後には10年ものなどがリリースされると予想されます。
アードナホーはポートエレンから調達された40ppmのピートを使うとのことで、ヘビー系のスモーキーな味わいに仕上がっています。ヘビーで甘みもあるアイラウイスキーが好きな方はぜひチェックしてみましょう。
スコッチウイスキーの中には「ボトラーズブランド」というタイプのものが存在します。
ボトラーズとは蒸留所が自ら瓶詰めし出荷するオフィシャルボトルではなく、瓶詰め業者によって販売されるウイスキーを指します。独立系の瓶詰業者が蒸溜所の原酒を樽ごと購入し、オリジナルの熟成や瓶詰めを行い出荷します。
アイラウイスキーに関しても、蒸溜所のオフィシャルボトルのほかボトラーズブランドによる商品が多く展開されています。アイラウイスキーのボトラーズは、蒸溜所のオフィシャルに引けを取らないくらいの人気があります。
アイラモルトのボトラーズとして人気を集めるのが、こちらの「スカラバス アイラシングルモルト」です。
ハンターレイン社によるボトラーズで、中身は100%アイラのウイスキーとなっています。蒸留所名や熟成年数は明かされておらずシークレットとなっていますが、正しくアイラらしい味わいを堪能できると人気があります。
スカラバスは5,000円前後で楽しめるウイスキーなので、アイラモルトを手頃価格で味わいたい方にぴったりです。
ラベルには蒸溜所名が書かれていませんが、中身にはアイラの巨人と言われるラガヴーリンの原酒が使われているとされています。
カスクストレングスによるボトリングで、アルコール度数が58%と高いことも大きな特徴に挙げられます。
個性豊かなアイラモルトは、ブレンデッドウイスキーのキーモルトとして使われることもあります。ブレンデッドはアイラのピートを程よく感じさせつつ、他の原酒とブレンドされることで飲みやすくなっているため初心者にもおすすめです。
アイラモルトを使ったブレンデッドウイスキーの代表ボトルには以下のようなものがあります。ぜひ試してみてがいかがでしょうか。
5,000円前後で買えるウイスキーであり、ブレンデッドのため強烈なアイラモルトよりも飲みやすいです。
伝統やカテゴリーという既成概念から解き放たれたその味わいは、アイラを感じさせつつも新鮮です。アイラのモルトだけでなくスペイサイドの原酒も使われていて、ピートスモークと同時に焚き火のようなニュアンスも感じられます。
展開企業限定のボトルであったため上陸直後はなかなか見かけられませんでしたが、徐々に販売するショップが増えており入手がしやすくなっています。3,000円台でも買えるショップがあるので、デイリー用のウイスキーにもおすすめです。
今回紹介したアイラウイスキーは、どれもファン人気が高い銘柄やシリーズのものばかりです。そんなアイラのウイスキーには、限定品、長熟ボトルをはじめ高額買取の対象となるものが多くあります。
もし飲まないアイラウイスキーをおもちなら、ぜひお酒買取査定の利用も検討してみましょう。
アイラウイスキーの買取査定なら、お酒買取専門店リンクサスにぜひご相談ください。リンクサスはお酒に特化した買取専門店で、元値だけでなく市場人気や世界人気を踏まえた上でウイスキーの高額査定・買取を行うことができます。
リンクサスのお酒買取は店頭買取・出張買取・宅配買取に対応していて全国各地からご利用いただけます。査定料はいっさいかかりませんので、まずは一度ご相談ください。
今回はアイラウイスキーの蒸留所や人気銘柄を紹介しました。いかがでしたでしょうか。
アイラモルトは全体的にスモーキーでピーティーな香り・味わいのものが多いです。その中でも蒸留所ごとに個性があるので、ぜひ飲み比べてみてください。
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