シャンボール・ミュジニーを代表する造り手
ジャック・フレデリック・ミュニエは、ブルゴーニュの
シャンボール・ミュジニーに拠点を構えるドメーヌです。1863年に設立されたという老舗のドメーヌでもあります。現在は5代目まで受け継がれており、1985年からフレデリック・ミュニエ氏が当主を務めています。シャンボール・ミュジニーにおける実力派として、その名を轟かせています。
元々ドメーヌの設立時には、名家そして大地主として名を馳せてきたジャック・フレデリック・ミュニエ。
シャンボール・ミュジニーやニュイ・サン・ジョルジュといったエリアに、およそ20ヘクタールもの畑を所有していたことでも知られています。
しかし常に順風満帆というわけではなく、経済恐慌や世界大戦の影響もあり1950年には大部分の畑をネゴシアンたちに貸し出すこととなります。これはフレデリック氏の父の代、ジャック・ミュニエ氏時代の出来事でした。
その後なんとか1978年には畑を自分たちのもとへと戻し、ワイン造りを再開させます。そして1985年、
フレデリック・ミュニエ氏がドメーヌに加わります。フレデリック氏は石油関連エンジニア、そして元パイロットという肩書きを持つ人物で、国際派の人として知られていました。「今までとは異なる生き方をしてみたかった」、そう語る彼がドメーヌに加わったのは35歳で、そこからワインを手がけるという特殊な経歴の持ち主でもあります。
除草剤や殺虫剤を使わずにブドウを育てる
フレデリック氏はボーヌにある醸造学校にて、ブドウ栽培やワイン造りの基礎を学びます。そしてネゴシアンから畑を取り戻したあとは、
ミュニエ家で初めてのヴィニュロンとして活躍していくこととなります。
ヴィニュロンは、自らが畑に出てブドウを作り、そのブドウでワイン醸造を手掛ける生産者のことを指します。今では約14ヘクタールの畑を所有し、ブドウ栽培およびワイン醸造を行っています。
そんな彼のポリシーは、除草剤や殺虫剤を散布することなくブドウを育てることにあります。いわゆる
有機栽培、ビオロジックに近いブドウ造りで、自然の味わいをそのまま大切にしています。ただし凝り固まったような考えではなく、果皮の色で収穫日を適切に判断する、木桶とステンレスタンクを併用しながらブドウを漬け込むという製法を採用しているのも特徴です。100%除梗、新樽少なめでおよそ17ヶ月の樽熟成を経て作られる彼のワインは、テロワールの特性を活かした
柔らかな口当たりとシルキーな喉ごしで非常にクオリティが高いです。
フランスのワインガイド誌で三ツ星の評価に
ジャック・フレデリック・ミュニエは、今ではシャンボール・ミュジニーの名主と呼ばれています。このエリアにはコント・ジョルジュ・ド・ヴォギュエ、ジョルジュ・ルーミエという2大ドメーヌが存在していますが、ジャック・フレデリック・ミュニエもこの2大ドメーヌに肩を並べる存在として認識されつつあります。実際にフランスのワインガイド誌である「
ル・ギィド・デ・メイユール・ヴァン・ド・フランス」においても、三ツ星(最高位)を獲得するほどの評価を得ています。
そんなジャック・フレデリック・ミュニエのワインは、人気と評価の高さも相まって今では入手困難と呼ばれています。特にボンヌ・マールなどは生産量が非常に少なく、見かけたらラッキーと言えるようなレベルです。
ジャック フレデリック ミュニエの所有畑
ジャック・フレデリック・ミュニエの所有畑についてみていきましょう。
- ボンヌ・マール・・・モレ・サン・ドニとシャンボール・ミュジニーにまたがるグラン・クリュ(特級畑)。ジャック・フレデリック・ミュニエの区画は0.36ヘクタールで、1年に1,000本前後しか生産されないというとにかく希少なキュヴェ。
- ミュジニー・・・グラン・クリュの一つで、ジャック・フレデリック・ミュニエは1.14ヘクタールを所有している。保水性の高い土壌から生まれるブドウのワインは非常にエレガントでリッチだが、堅実な骨格も感じることができる。
- シャンボール・ミュジニー・レ・フュエ・・・ボンヌ・マールに隣接するプルミエ・クリュ(一級畑)。約0.7ヘクタールを所有し、3,000本に近いワインをリリースする。ミネラル豊富で肉付きの良い果実味が魅力。
- シャンボール・ミュジニー・レ・ザムルーズ・・・ミュジニーの斜面下方に位置するプルミエ・クリュで0.53ヘクタールを所有している。2,000本ほどの生産しかされない希少なキュヴェで、年によっては1,000本を下回ることも。並外れた豊かさをもつ上品で優美なワインは、長期熟成にもおすすめ。
- ニュイ・サン・ジョルジュ・クロ・ド・ラ・マレシャル・ルージュ・・・ニュイ・サン・ジョルジュのプルミエ・クリュ“クロ・ド・ラ・マレシャル”で作られる赤ワイン。約9ヘクタールという非常に大きな面積のモノポールで、ジャック・フレデリック・ミュニエの個性を感じられる。
- ニュイ・サン・ジョルジュ・クロ・ド・ラ・マレシャル・ブラン・・・“クロ・ド・ラ・マレシャル”の畑のわずか0.6ヘクタールにて、ピノ・ノワールから節木したシャルドネを使用。白ワインで、初リリースは2005年というファン待望の1本。
- シャンボール・ミュジニー・・・プルミエ・クリュ“レ・プラント”に村名畑である“コンブ・ドルヴォー”をブレンドして作られるワイン。村名クラスですがプルミエ・クリュも使用するという贅沢さで、美しい香りに深い味わいが光る
- ニュイ・サン・ジョルジュ・クロ・デ・フルシュ・・・村名クラスのワイン。比較的手頃価格で手に入る
ジャック・フレデリック・ミュニエのワインには、上記のようなラインナップがあります。特級畑から村名クラスまであり、さまざまなバリエーションと価格帯があるので飲み比べも楽しむことができるでしょう。
特にグラン・クリュ「ミュジニー」やプルミエ・クリュ「レ・ザムルーズ」あたりは非常に人気です。ただし人気ワインは本数も少ないので、価格も1本で数十万円と高騰しています。
ジャック フレデリック ミュニエが高額買取となる理由
ジャック・フレデリック・ミュニエは、
近年評価が急激に上がり続けていること、そして
人気ワインの生産量がそもそも少ないことを理由に価格が高騰しています。
例えばグラン・クリュのミュジニーなどは、状態が良ければ20万円超えの買取価格が付くケースもあります。現在所有している方は非常にラッキーと言えるでしょう。長期熟成に耐えうるワインなので、何年も前のボトルが高額査定となるケースもあり得ます。
またグラン・クリュのワインだけでなく、単一所有畑である
ニュイ・サン・ジョルジュ・クロ・ド・ラ・マレシャルなども人気の高さから高値がつきやすいです。赤ワインで有名な造り手ではありますが、白ワインも同時に高額査定対象になります。
なおジャック・フレデリック・ミュニエの買取価格は、状態やヴィンテージによっても変わってきます。保存状態の良いもの、そして当たり年の人気ワインはより高値になりやすいです。
2015年、2010年、2009年、2005年などは特に評価が高いです。リンクサスのワイン買取査定なら、当たり年についても解説しながら業界最高水準での買取価格提示が可能です。