ピュリニー・モンラッシェの至宝
ルフレーブは、フランスのブルゴーニュの
ピュリニー・モンラッシェ村に位置するドメーヌです。世界最高峰の白ワインを生み出すピュリニー・モンラッシェに自社畑を多く所有する、全世界に点在する白ワイン生産者が尊敬する存在として知られています。ルフレーブの歴史は古く、
500年前に遡ることができると言われているほどです。ワイン造りは500年前、ルフレーブの名でドメーヌが設立されたのは200年以上前であり、その頃から質の高いワインを生み出す生産者として名が知られていました。
ルフレーブの歴史がスタートしたのは20世紀初頭の頃で、一族の畑を相続した
ジョゼフ・ルフレーヴによってドメーヌ「ルフレーブ」が誕生します。
もともとサンティティエンヌで製鉄工場を経営していた同氏ですが、第一次世界大戦が終了後に倒産し、その財産を全てドメーヌ経営に投資したことがワイン造りが始まったきっかけだったと言われています。
そんなジョゼフ・ルフレーヴを家族が支える形でドメーヌは成長を続け、
その地位を不動のものとします。
2007年にワイン評価雑誌『デキャンタ』にて、「白ワインの世界10大生産者」の1位に輝くなど、ワインを知る人間で名を知らぬ者は存在しないほどの存在となったのです。
現在、オリヴィエ氏とアンヌ・クロード氏というルフレーブに欠かせない人物の甥である、
ブリス・ド・ラ・モランディエール氏がドメーヌ当主としてその地位を守り続けています。
ビオディナミから生み出されるブドウ本来の味わい
ルフレーブが「偉大」と称されている理由のひとつに、
白ワイン最高峰の土地に多く自社畑を所有しているところです。かのモンラッシェをはじめ、シュヴァリエ・モンラッシェ、バタール・モンラッシェなどグラン・クリュ、さらにプルミエ・クリュなど
25haを越える自社畑をこの地で所有しています。
そしてルフレーブの驚くべき真実として、グラン・クリュとプルミエ・クリュがその7割を越えているだけでなく、その全ての畑のブドウが
ビオディナミ農法で栽培されているところでしょう。
ビオディナミとは天体の動きに合わせたブドウ栽培であり、特殊な肥料などを使用する
有機栽培でも最高峰となる農法です。1990年代にアンヌ・クロード・ルフレーヴ氏によってビオディナミ農法が導入され、1997年に全ての自社畑で導入され大きな話題となりました。
この時代、化学肥料を使用せずにブドウを栽培することが毛嫌いされる時代だっただけに、
ビオディナミを導入するといった判断は非常にリスクだったと言います。
既に高い名声を得ていたルフレーブです。もし、これが失敗したら後戻りはできません。
しかし、大切なことは化学肥料で畑にダメージを与え続けることではなく、畑が健全であり、
次の世代へとその畑を受け継ぐことだとルフレーブは考えたのでしょう。
化学的な根拠は未だ完全解明はされていませんが、ビオディナミ農法によって生み出されるブドウはテロワールを反映しており、この農法でしか出すことができない生命力に溢れた味わいのワインが生み出されるのです。
妥協なき醸造から生み出される極上の白ワイン
ルフレーブのこだわりはブドウの品質だけではなく、醸造にも見ることができます。最高峰の畑で収穫されたブドウだからこそ、その
ポテンシャルを最大限発揮させるための醸造テクニックが必要です。
ルフレーブの醸造所は近年、新たな設備が導入されよりピュアな醸造が行われるようになりました。伝統的な醸造スタイルはそのままに、品質を維持するための環境が完璧に整えられています。
また、ルフレーブの特徴として
新樽比率が極端に低いところでしょう。グラン・クリュであっても25%程度であることから、エレガントさと複雑さを兼ね備えた偉大な白ワインが生み出されるのです。(その後もステンレスタンクで熟成させられる)
既に誰もが羨む地位を手にしているルフレーブですが、決してその
名声に甘んじることはありません。ワイン造りへの情熱も、世界トップクラスのドメーヌなのです。
ちなみに、ルフレーブはワインの魅力を多くの人たちに知ってもらうために、レストランやホテルなどを運営しています。ワイン造りだけに徹するのではなく、
その情熱を人々に伝え続けているところもルフレーブの特徴と言えるのではないでしょうか。
ルフレーブの所有畑と注目銘柄がこれ!
ルフレーブの特徴は、モンラッシェを中心にグラン・クリュやプルミエ・クリュを多く所有しているところです。そのため、銘柄も比較的多く入手困難な高級ワインから、比較的入手しやすい銘柄など
幅広いラインナップで展開されています。
ルフレーブの所有畑を下記にまとめました。
- ・モンラッシェ(グラン・クリュ)
- ・バタール・モンラッシェ(グラン・クリュ)
- ・シュヴァリエ・モンラッシェ(グラン・クリュ)
- ・ビアンヴニュ・バタール・モンラッシェ(グラン・クリュ)
- ・ピュリニー・モンラッシェ・コンベット(プルミエ・クリュ)
- ・ピュリニー・モンラッシェ・クラヴァイヨ(プルミエ・クリュ)
- ・ピュリニー・モンラッシェ・ピュセル(プルミエ・クリュ)
- ・ピュリニー・モンラッシェ・フォラティエール(プルミエ・クリュ)など
白ワインの至宝と称されるだけあり、
グラン・クリュが綺羅星のごとく並びます。また、近年ルフレーブでは、カジュアルな価格帯で購入できるマコネ地区、オート・コート・ド・ボーヌの区画などを取得しているため、
スタイルのぐっと幅が広がりました。
下記で、ルフレーブの注目銘柄を紹介します。
- ・シュヴァリエ・モンラッシェ グラン・クリュ・・・ルフレーブを代表する1本。アロマの美しさが際立つ、強烈なミネラル感を持った偉大な白ワイン。
- ・バタール・モンラッシェ グラン・クリュ・・・表土の厚い粘土石灰質土壌が特徴のバタール・モンラッシェ グラン・クリュ。ルフレーブの中でも非常にふくよかな口当たりで、構造の大きな1本に仕上げられています。
- ・ビアンヴニュ・バタール・モンラッシェ グラン・クリュ・・・緊張感のあるミネラリティを感じさせるグラン・クリュ。余計なものが削られたシンプルでピュアな味わいは、ワイン愛好家たちからも絶賛されています。
- ・ピュリニー・モンラッシェ プルミエ・クリュ レ・ピュセル・・・プルミエ・クリュでありながら、グラン・クリュに比肩すると言われる至宝の1本。ルフレーブの中でも人気が高く、その洗練された美しい味わいの虜になる方も少なくありません。
- ・ピュリニー・モンラッシェ プルミエ・クリュ レ・コンベット・・・白ワインの銘醸地として知られるムルソーに隣接するプルミエ・クリュ。ムルソーの持つふくよかさと、モンラッシェらしいピュアで洗練された酸が楽しめる美しい1本です。
- ・シャサーニュ・モンラッシェ プルミエ・クリュ ラ・マルトロワ・ブラン・・・0.16haの自社畑から収穫されたシャルドネが使用されている、非常に希少なプルミエ・クリュ。しっかりとしたミネラルを感じる、エレガントさ際立つ1本です。
グラン・クリュは入手困難な銘柄であり、ヴィンテージによってその価値も大きく変化していきます。プルミエ・クリュはグラン・クリュと比較するとカジュアルな価格帯ではありますが、高級ワインであることには間違いなく
ワインファン垂涎の品として扱われています。
グラン・クリュのイメージが強烈であることから、コレクターなどはそれらを選ぶことが多いようですが、専門家はピュセル、クラヴァイヨン、コンベットといったプルミエ・クリュのルフレーブの素晴らしさを賞賛しているところも見逃せないポイントでしょう。
シャルドネらしい柑橘のニュアンスや白い花、そして樽由来のリッチなナッツ感、ほど良いミネラル感。
全てが完璧にまとまっている、
世界最高峰の白ワインがここにあります。