2020年にリリースされた数量限定の山崎
山崎リミテッドエディション2020は、2020年11月に数量限定でリリースされました。限定品ということもあり
予約抽選でしか定価購入できないことで、発売時から激レアな山崎として人気を集めていたシリーズとなります。
元々、山崎リミテッドエディションは2014〜2017まで4年間リリースされていました。しかし2020年の限定品はかつての山崎のエディションとは内容を一新し、
「山崎蒸留所の多彩な原酒の魅力を存分に」というコンセプトのもと5種類のボトルが発売されたのが大きな特徴です。
2018・2019年にはリミテッドエディションが発売されなかったこともあり、山崎リミテッドエディション2020は待望の山崎の限定品として大きな人気を博しました。現在でも人気は継続中で、数少ない残りのボトルを買い集めようとするコレクターも存在するほどの状況となっています。
5種の樽を使った個性のある味わい
サントリーの山崎蒸留所では、発酵・蒸留・熟成というそれぞれの工程において、多彩な原酒の作り分けをおこなっています。これは世界でも類を見ないレベルで、
原酒の作り分けが山崎の最大の長所と言っても過言ではありません。
特に山崎で重要視しているのが、「樽での熟成工程」とのことです。なぜなら
材質や前歴、そして樽のサイズが原酒の個性に直結するからです。
山崎リミテッドエディション2020には、パンチョン・ボルドーワインカスク・スパニッシュオーク・ピーテッドモルト・ミズナラのそれぞれの樽の特性を活かした5種類のシリーズが存在しています。それぞれの特徴は以下の通りです。
<パンチョン2020EDITION>
パンチョンは、アメリカンオーク材を選別しサントリーが自社で製樽している樽となります。容量約480リットルのずんぐりとした形で、ウイスキーとの接触面積が小さいため熟成が穏やかに進むという特性があります。そのため熟成感というよりも、
スピリッツ本来の味わいを楽しめるようになっています。
ウイスキーの色は明るい黄金色をしているのが特徴で、
青リンゴやバニラを感じさせる爽やかな甘み、そしてバタースコッチのような穏やかな味わいとほろ苦い余韻があります。
<ボルドーワインカスク2020EDITION>
ボルドーワインカスクのエディションは、ニューポットの段階からワイン樽熟成した原酒だけを使用しています。ここで使われるワイン樽は、ワインの貯蔵に使用されたフレンチオーク樽のうち、山崎ブランドの厳しいチェックを通過したものだけが採用されます。
ワイン樽の特徴を存分に感じられるこのボトルは、
ベリーのようなフルーティーな甘さとスパイシーさが特徴です。濃厚でトロリとした口当たりで、程よい酸味もあります。
<スパニッシュオーク2020EDITION>
スパニッシュオーク樽は、一般的に使われることの多いアメリカンオークの樽に比べてタンニンなどの成分が原酒に溶け出しやすいという特徴があります。そのため
香りが特に強いモルト原酒が生まれます。
山崎リミテッドエディション2020で採用したスパニッシュオーク樽は、スペインの北部から切り出したオークを製樽、さらにシェリー酒の貯蔵に用いていたものとなります。
レーズンやドライトマトを感じさせる濃縮された香りで、甘味や酸味もぎっしり詰まったウイスキーです。
<ピーテッドモルト2020EDITION>
山崎に使われる原酒の中でも、特に重要視されるスモーキーな原酒。これはピートを強めに焚いて乾燥させた麦芽を用いて作られています。
山崎リミテッドエディション2020のピーテッドモルトでは、この
スモーキー原酒だけを厳選してブレンドしています。そのため非常に力強い味わいで、複雑でスモーキーな香りを堪能できます。余韻までピーティーなので、スコッチなどスモーキーなウイスキーが好みの方から特に評価が高いボトルとなっています。
<ミズナラ2020EDITION>
山崎蒸留所には、サントリーが戦前から長い間ウイスキーの熟成に使用してきたミズナラ樽があります。
日本産のオークであるミズナラ材で作られた樽であり、これこそが山崎に人気の秘訣と言われるほどです。
山崎リミテッドエディション2020のミズナラは、非常に希少なミズナラ樽の熟成原酒だけを丁寧にブレンドしています。ジャパニーズウイスキーらしいオリエンタルな香りが楽しめると、
5種類の中でも特に評価が高いボトルとなります。
山崎リミテッドエディション2020の価格は?
山崎リミテッドエディション2020は、もともと
定価11,000円(税抜)で販売されました。しかし人気の限定品ということもあり、
定価購入できたのは非常に僅かな当選者のみでした。発売直後から市場価格はすぐに高騰し、今でも値段は高まり続けています。
なお山崎リミテッドエディションの現在の相場は、ボトルによって異なります。Amazonなどの通販価格を見ると、取引価格は以下のようになっています。
- ・パンチョン2020EDITION・・・約10万円
- ・ボルドーワインカスク2020EDITION・・・約22万円
- ・スパニッシュオーク2020EDITION・・・約33万円
- ・ピーテッドモルト2020EDITION・・・約14万円
- ・ミズナラ2020EDITION・・・約110万円
いずれのボトルも定価の10倍を超えるような価格がついていますが、特にミズナラ樽のボトルは圧倒的な人気があり、市場価格は100万円を超えるほどにまで登っています。これは
日本らしいミズナラ樽のウイスキーが、海外からの評価が特に高いためだと考えられます。